国宝・重要文化財の新指定,重要伝統的建造物群保存地区の新選定など

今日(2017年10月20日)の文化審議会で国宝2件,重要文化財6件の新指定,重要伝統的建造物群保存地区2件の新選定などが決まりました.近いうちに官報告示を経て正式に指定・選定されます.
 
【国宝】
- 専修寺御影堂(三重県津市) []
- 専修寺如来堂(三重県津市) []

【重要文化財】
- 旧池田家住宅洋館(秋田県大仙市)
- 旧久邇宮邸(聖心女子大学)(東京都渋谷区)
- 旧石川県第二中学校本館(石川県金沢市)
- 北口本宮冨士浅間神社(山梨県富士吉田市)
- 旧松本区裁判所庁舎(長野県松本市)
- 松殿山荘(京都府宇治市)

【重要伝統的建造物群保存地区】
- 福山市鞆町(広島県福山市)
- 杵築市北台南台(大分県杵築市) []

[]は当ブログ記事リンク.

とうとう「福山市鞆町」が重伝建になります.鞆の浦ともよばれる古くからの港町です.景観のいいところに橋を架ける計画ができて反対運動が起こってと,なかなか町並み保存の政策が進まなかったのだけど,架橋計画が撤回されて保存計画が立てられて,重伝建に選定されることになりました.これで一安心だけど,まだまだ問題はあるようで,そもそも重伝建選定の範囲が8.6 haと狭い.これを機に選定範囲外で町並みが壊されていくのではないかと心配です.広い重伝建だと周辺の山地を含んで1,000 haを越えるところもあるのだけど,海の景観が有名な景勝地なだけに,海を大きく含んだ範囲にしてほしかったです.ちなみに「伊根町伊根浦」(京都府与謝郡伊根町)の重伝建選定範囲は310 haに及びます.道路の混雑は相変わらずだと思いますが,P&Rを推進して公式観光サイトにP&R情報を大々的に載せるぐらいのことはやってほしいものです.

重伝建の新選定はもう一つあって,「杵築市北台南台」.武家町としての選定で,谷を挟んだ北台地区と南台地区.この谷が町人町だっただけど,道路を拡張したりしたことで,地割がよくは残っていないし武家町でもないということで外したのかと思います.それでも,古い建物はいくらか残っていたと思うし,城下町の種別にして入れてもよかったのではと思ったりもします.下の写真は谷部分の写真なので,谷の下は選定範囲外だけど,道だけ細く選定範囲に入っています.

重文の新指定は近代が多いです.これが近年の傾向.近世以前だと「北口本宮冨士浅間神社」の拝殿及び幣殿など8棟.世界遺産の神社で,すでに本殿,東宮本殿,西宮本殿の3件が重文,境内が史跡になっていました(参照:北口本宮富士浅間神社).本殿の写真の右に少し写っているのが幣殿です.

そして,専修寺に2棟(「専修寺御影堂」・「専修寺如来堂」)が国宝になります.次の建造物の国宝指定は何かと考えることは多いのだけど,これは予想外.そんなにすごい建築なのかどうかは個人的にはちょっと疑問です.

あと,重文の追加指定で,「常願寺川砂防施設」で2ヶ所が追加になります.

詳しくは文化庁の報道発表資料を.
- 国宝・重要文化財(建造物)の指定について・概要(pdfファイル)(報道発表,文化庁)
- 重要伝統的建造物群保存地区の選定について・概要(pdfファイル)(報道発表,文化庁)

専修寺御影堂#
【専修寺御影堂】(HDR合成,撮影:2013年7月27日)

専修寺如来堂#
【専修寺如来堂】(HDR合成,撮影:2013年7月27日)

福山市鞆町#
【福山市鞆町】(HDR合成,撮影:2011年1月3日)

杵築市北台南台#
【杵築市北台南台】(HDR合成,撮影:2014年8月25日)
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『神宿る島』宗像・沖ノ島と関連遺産群の世界遺産登録について

祝!「『神宿る島』 宗像・沖ノ島と関連遺産群 (Sacred Island of Okinoshima and Assosiated Sites in the Munakata Region)」の世界遺産登録

ポーランドのクラクフにて開催されている世界遺産委員会で,世界遺産に登録されることが決まりました.古代祭祀遺跡で有名な沖ノ島とそれに関連する神社と古墳群です.

構成資産は以下の通りです.

- 宗像大社沖津宮(沖ノ島,小屋島,御門柱,天狗岩)(福岡県宗像市)
- 宗像大社沖津宮遙拝所(福岡県宗像市)
- 宗像大社中津宮(福岡県宗像市)
- 宗像大社中辺津宮(福岡県宗像市)
- 新原・奴山古墳群(福岡県福津市)

文化財としては宗像大社の沖津宮・沖津宮遙拝所・中津宮・辺津宮が「宗像神社境内」としてまとめて国指定史跡で,辺津宮にある「宗像神社辺津宮拝殿」,「宗像神社辺津宮本殿」は重要文化財.新原・奴山古墳群は「津屋崎古墳群」として国の指定を受ける古墳群の一部です.

登録基準は日本側は(ii)(iii)(vi)を主張していたけど,(vi)は認められず.この点を簡単に説明すると,アジアのいろんなところからの遺物が発見された古代祭祀遺跡ってことで価値観の世界的な交流を示すという(ii)の基準,信仰が古代から現在まで継承されてきたことを示しているということで文化・文明の存在を示すという(iii)の基準,沖ノ島や宗像三女神への信仰自体が普遍的意義を有する生きた伝統であるということで歴史的な出来事(生きた伝統を含む)との関連があるという(vi)の基準に合致するというのが日本の主張.

一方,ICOMOSの評価は,(vi)に関しては「生きた伝統」というのは日本において重要だけど,世界的なものとはいえないよねってことで却下で,(ii)(iii)に関しては沖ノ島(とまわりの岩礁)については認められるというものでした.ということで,8資産のうちの4資産に限って記載の勧告となったのでした.すごい古代祭祀遺跡っていうのは沖ノ島なので,(ii)が沖ノ島だけに適用できるというのは納得できます.問題は(iii)で,沖ノ島の古代祭祀が宗像三女神への信仰に発展したというのが日本の主張だけど,証拠はないよねっていうのがICOMOSの評価でした.

結果的に世界遺産委員会では8資産が認められたけど,ICOMOSの勧告は学術的には正しいけどもっと地元の信仰に敬意が必要なんじゃないかみたいな意見があって,やはり説得力のある説明はできてなかったようで,それで世界遺産になってしまうことに,どうももやもやしたものを感じてしまいます.

宗像神社辺津宮本殿
【宗像神社辺津宮本殿】(HDR合成,撮影:2017年4月28日)

さて,来年の世界遺産委員会についてですが,「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」が審査される予定.一度推薦した物件だけど,ICOMOSの助言も受けて構成資産の見直しなどをして再推薦.

史跡等の新指定,重要文化的景観の新選定など

今日(2017/06/16)の文化審議会で特別史跡1件,史跡11件,名勝6件,重要文化的景観7件の新選定などが決まりました.近いうちに官報告示を経て正式に指定・選定されます.
 
【特別史跡】
- 加曽利貝塚(千葉県千葉市) []

【史跡】
- 入の沢遺跡(宮城県栗原市)
- 瓦塚窯跡(茨城県石岡市)
- 泉坂下遺跡(茨城県常陸大宮市)
- 山野貝塚(千葉県袖ケ浦市)
- 陸軍板橋火薬製造所跡(東京都板橋区)
- 利神城跡(兵庫県佐用郡佐用町)
- 都塚古墳(奈良県高市郡明日香村)
- 八幡浜街道笠置峠越(愛媛県八幡浜市・西予市)
- 福原長者原官衙遺跡(福岡県行橋市)
- 三雲・井原遺跡(福岡県糸島市)
- 城久遺跡(鹿児島県大島郡喜界町)

【名勝】
- 湯畑(群馬県吾妻郡草津町)
- 江馬氏館跡庭園(岐阜県飛騨市)[]
- 櫻井氏庭園(島根県仁多郡奥出雲町)
- 星ヶ森(横峰寺石鎚山遥拝所)(愛媛県西条市)
- 天念寺耶馬及び無動寺耶馬(大分県豊後高田市)
- 鵜戸(宮崎県日南市)

【重要文化的景観】
- 阿蘇の文化的景観 阿蘇北外輪山中央部の草原景観(熊本県阿蘇市)
- 阿蘇の文化的景観 南小国町西部の草原及び森林景観(熊本県阿蘇郡南小国町)
- 阿蘇の文化的景観 涌蓋山麓の草原景観(熊本県阿蘇郡小国町)
- 阿蘇の文化的景観 産山村の農村景観(熊本県阿蘇郡産山村)
- 阿蘇の文化的景観 根子岳南麓の草原景観(熊本県阿蘇郡高森町)
- 阿蘇の文化的景観 阿蘇山南西部の草原及び森林景観(熊本県阿蘇郡南阿蘇村)
- 阿蘇の文化的景観 阿蘇外輪山西部の草原景観(熊本県阿蘇郡西原村)

[]は当ブログ記事リンク.

久しぶりに特別史跡の新指定です.「加曽利貝塚」(千葉県千葉市)が史跡から特別史跡になります.2000年11月に「三内丸山遺跡」(青森県青森市),「キトラ古墳」(奈良県高市郡明日香村),「原の辻遺跡」(長崎県壱岐市)の3件がなって以来の特別史跡指定なので,本当に久しぶりです.特別史跡はもっとあってもいいと思うので,全国的にこういう動きがあるといいと思います.千葉市の市長さんが今回の報道を受けて,「遺跡の価値に見合う扱いを十分にしてこなかった市政を転換」した旨をツイートしていたのだけど,行政が文化財の保護や活用を十分にしていない事例はいっぱいあるので,今後かわっていくといいなぁと思います.同じ千葉県の貝塚で,袖ケ浦市の「山野貝塚」は新しく史跡に指定されます.

庭園の名勝指定では「江馬氏館跡庭園」(岐阜県飛騨市),「櫻井氏庭園」(島根県仁多郡奥出雲町)の2件には行ったことがあって,既に「江馬氏城館跡」,「櫻井家住宅」として遺跡が史跡になっていたり,建物が重文になっていたりします.

重要文化的景観は一気に7件が新選定.7件が同時に重要文化的景観になるなんて希有なことで驚いたのだけど,全てが阿蘇の文化的景観に関するものでした.なぜ7件に分かれたかっていうと,こういうのは市町村が独自に保存計画をたてて,それを国が選定するという手順になっているからです.四万十川流域の文化的景観も自治体ごとに重要文化的景観になったのだけど,それと同じです.阿蘇の文化的景観は阿蘇市,南小国町,小国町,産山村,高森町,南阿蘇村,西原村の景観が個別に重要文化的景観になります.また阿蘇に行きたい.

あとは天然記念物の新指定,特別史跡の追加指定,史跡の追加指定,登録記念物の新登録など.

詳しくは文化庁の報道発表資料を.
- 史跡等の指定等(pdfファイル)(報道発表,文化庁)
- 重要文化的景観の選定(pdfファイル)(報道発表,文化庁)

櫻井氏庭園#
【櫻井氏庭園】(撮影:2011年5月5日)

重要文化財の新指定,重要伝統的建造物群保存地区の新選定など

今日(2017/05/19)の文化審議会で重要文化財9件の新指定,重要伝統的建造物群保存地区1件の新選定などが決まりました.近いうちに官報告示を経て正式に指定・選定されます.
 
【重要文化財】
- 旧双葉幼稚園園舎(北海道帯広市)
- 大雄寺(栃木県大田原市)
- 旧内田家住宅(愛知県知多郡南知多町)
- 聴竹居(京都府乙訓郡大山崎町)
- 観心寺恩賜講堂(大阪府河内長野市)
- 旧和歌山県会議事堂(和歌山県岩出市)
- 白峯寺(香川県坂出市)
- 本河内水源地水道施設(長崎県長崎市)
- 玉御殿(沖縄県島尻郡伊是名村)

【重要伝統的建造物群保存地区】
- 養父市大屋町大杉(兵庫県養父市)

というわけで,3月に行った「養父市大屋町大杉」が重伝建になります.山村・養蚕集落の種別で,三階建の養蚕農家の住宅がまとまっているのが特徴.明治後期から養蚕が盛んだったということで,明治以降の建築かと思いきや,江戸後期の建物に,蚕室として二階や三階を増築したものもあるようです.

最近は近代建築の重文指定が多くて,それ以前のものとしては少なくなりました.白峯寺は鎌倉時代の石塔二基がすでに重文になっていたけど,江戸時代のお堂や門など9棟が「白峯寺」として重文になります.同じく近世の寺院建築群が重文になるのは「大雄寺」の9棟で,黒羽城跡にある曹洞宗寺院.

それと,既に重文になっている「滝谷寺鎮守堂」(参照:滝谷寺)に本堂など5棟が追加で重文に指定されます.

詳しくは文化庁の報道発表資料を.
- 重要文化財(建造物)の指定について(概要(pdfファイル))(報道発表,文化庁)
- 重要伝統的建造物群保存地区の選定について(概要(pdfファイル))(報道発表,文化庁)

養父市大屋町大杉
【養父市大屋町大杉】(撮影:2017年3月20日)

史跡等の新指定など

今日(2016/11/18)の文化審議会で史跡10件,史跡及び名勝1件,名勝1件の新指定,重要文化的景観1の新選定などが決まりました.近いうちに官報告示を経て正式に指定・選定されます.
 
【史跡】
- 山王坊遺跡(青森県五所川原市)
- 小笠原氏城跡(長野県松本市)
- 高島藩主諏訪家墓所(長野県諏訪市・茅野市)
- 東町田墳墓群(岐阜県大垣市)
- 水口岡山城跡(滋賀県甲賀市)
- 箸墓古墳周濠(奈良県桜井市)
- 英彦山(福岡県田川郡添田町) []
- 小熊山古墳・御塔山古墳(大分県杵築市)
- 面縄貝塚(鹿児島県大島郡伊仙市)
- 北大東島燐鉱山遺跡(沖縄県島尻郡北大東島町)

【史跡及び名勝】
- 横山大観旧宅及び庭園(東京都台東区)

【名勝】
- 旧龍性院庭園(愛知県豊田市)

【重要文化的景観】
- 奥内の棚田及び農山村景観(愛媛県北宇和郡松野町) []

[]は当ブログ記事リンク.

9月に行った愛媛県松野町の奥内の棚田が重要文化的景観になることになりました.ここは重要文化的景観選定への申請をしているとは知らなかったです.棚田百選で規模の大きな棚田で,見栄えもよさそうということで行ってみたのでした.4つの集落も含めて農山村景観としての選定です.愛媛県は狩浜の段々畑が先に重要文化的景観になると思っていたのだけど.

行ったことのあるところだと「英彦山」が新しく史跡になります.すでに重文,名勝庭園があります.他の有名どころでは箸墓古墳が史跡に.ここは宮内庁が管理している古墳で,こういうのは慣習的に文化財にならないのだけど,そこから外れる前方部墳端,周濠とされているところの一部が史跡になるようです.

あと,天然記念物の新指定とか,史跡の追加指定とかいろいろ.

詳しくは文化庁の報道発表資料を.
- 史跡等の指定等(pdfファイル)(報道発表,文化庁)
- 重要文化的景観の新選定(pdfファイル)(報道発表,文化庁)

奥内の棚田及び農山村景観#
【奥内の棚田及び農山村景観】(撮影:2016年9月29日)
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タカシ☆TZR(ヤブキ タカシ)

Author:タカシ☆TZR(ヤブキ タカシ)
兵庫県出身,大学からは宮城.その後,横浜での勤務を経て現在は東京勤務で千葉県在住.愛機はYAMAHAのTZR250R.

国内の文化財の写真を適当に載せていきます.今のところ隔日ぐらいの更新にしてます.日本の美にこだわって近世以前のものを中心に.こんなタイトルのブログだけど,バイクで行ったところでないところの話もでてきます.

「たびねす」というサイトでナビゲーターやってます → 最新記事(2017年5月26日更新)

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